ブタケツ、ダルマ、クジラ、ケンメリ・・・サンマル、ニーナナ、ヨタハチ・・・旧車好きや車好きの会話では車種名ではなく型式や愛称が使われることが多い。長寿の車種・シリーズになると車種名だけではどの世代のモデルを指しているか特定できないからだ。でもそれだけではない。そこには単にモデルを区別するための記号を超えた意味や想いや歴史が込められている。特に愛称については決まった命名ルールがるわけでもなく、誰ともなくそう呼び始め、いつのまにか定着したものが多い。それだけにそのモデルの特徴や印象を喚起する絶妙なものが多く、また愛称で呼ばれる車というのは良くも悪くも人々の記憶・印象に強く残った特徴・インパクトを持ったモデルのことが多い。名車であれ迷車であれ、人々の記憶に強い印象を残した愛称で呼ばれることの多いモデルを集めてみてみえてくることとは。(ハチロク、サンマルなど型式で呼ばれているものや、エスハチ、べれジーなどモデル名を短縮してるだけのものは挙げるときりがないので省略しました。)
調べてみるとスカイラインは愛称の多さでもその知名度・浸透度という点でも別格だった。しかも、こうして眺めてみると、単に人気がある、高性能というだけではなく、各世代がそれぞれ濃いキャラを持っていて、それが愛称という親愛表現につながっているように思える。ここに挙げたモデルはちょうど桜井眞一郎がスカイラインの開発を統括していた時期に一致している。こうしてみるとスカイラインでありながらも各世代が強烈な個性をもったモデルばかりであることに気づかされる。桜井眞一郎というと技術者としての才能・功績が協調されがちだけれど、車の個性を際立たせるキャラづくりの天才でもあったということに改めて気づかされる。
先進的技術やデザインを取り入れた意欲作を多く送り出しながらも、それゆえに経営面では苦戦を強いられ最終的には日産に吸収されて消滅したプリンス。そのプリンスのフラッグシップだったグロリアにも野心作多く、その特徴から愛称で呼ばれることが多い。そういえば、スカイラインももともとはプリンスのモデルだったし、桜井眞一郎もプリンス出身だった。スカイラインもグロリアも合併後廃止の方針が決まっていたが、根強い人気により存続。廃止どころかドル箱シリーズといっていいラインに成長していった。
愛称 | モデル写真 | 型式 | 販売期間 | 由来? |
ハチマキ | ![]() |
S40系 | 1962 – 1967 | ボディ形状モールデザイン |
タテグロ | ![]() |
A30系 | 1967 – 1971 | ヘッドライト配列 |
1955年以来60年にわたる不動のトヨタ看板モデル。派生車種も多く、もはやひとつのブランドといっていい存在に。クラウンというと保守的で和風なイメージが強いが、攻めてた時期もあって、そんなモデルに限って印象に残ってしまうものなのか、愛称で呼ばれることが多い。でも、オニクラなんかより、現行のマジェスタなんかの方がよっぽど人相悪くないですか。
愛称 | モデル写真 | 型式 | 販売期間 | 由来? |
カンノン
ビラキ |
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S40系 | 1962 – 1967 | 前後ドアが観音開き |
クジラ | ![]() |
A30系 | 1967 – 1971 | フロントマスク(バンパー)形状 |
オニクラ | ![]() |
S40系 | 1962 – 1967 | ヘッドライト・サイドマーカデザイン |
ゼロクラ | ![]() |
A30系 | 1967 – 1971 | キャッチコピー |
グロリア、クラウンときたので高級車くくりということで。クラウン、セドグロのセグメントに食い込もうと三菱が放ったモデルで、GMのデザイナを雇って描かせた本家アメリカの先進デザインを取り入れたスタイルだったが、セールス的には不発。そのせいもあってか、モデルチェンジもないまま1964年から1986年まで20年も販売されつづけ、ついたあだ名が走るシーラカンス。。。
でも実は初代センチュリーはもっと長い間(なんと30年)モデルチェンジしてなかった。それが完成度の高さの証しと映るところがセンチュリーののすごいところ。
愛称 | モデル写真 | 型式 | 販売期間 | 由来? |
シーラカンス | ![]() |
A30系 | 1964 – 1986 | 長すぎた販売期間 |
1600CCクラスをこう呼んだ時代があった。70年代、マイカーブーム、スポーツカーブームの主戦場ともなったこのクラスだが、愛称を持つモデルは以外と少ない。少ないので2000CC以下の乗用車(軽自動車以外)まとめてしまう。
そして忘れてはならないのが軽自動車。やはり、個性的で印象にのこる名車ぞろい。
愛称 | モデル写真 | モデル | 販売期間 | 由来? |
テントウムシ | ![]() |
スバル360 | 1958 – 1970 | ボディ形状 |
ケサブロウ | ![]() |
K360 | 1959 – 1970 | モデル名 |
水中メガネ | ![]() |
ホンダZ | 1970 – 1974 | リアウィンドウトリム |
マー坊 | ![]() |
スズキ
マイティボーイ |
1983 – 1988 | モデル名キャッチコピー |
旧車やクラシックカーの場合、車種名だけではどの世代のモデルを指しているか特定できない。モデルを特定するために愛称や型式名で呼ぶことが多い。愛称を持つモデルについてはパート1にまとめたので、型式についてもまとめてみた。”専門外”の車になると型式で言われてもピンとこなかったり、型式の数字部分が同じ別の車の話だったりする。たとえば、30とか130などはフェアレディにもセドリックにも、グロリアにもあったりする。数字部分だけだとトヨタと日産でかぶっていたりもする。特にサンマルとイチイサンマルは多い。そこで、旧車の外見(写真)と型式名の一覧をつくって、なおかつ、スワップミートなどでの会話や、この車なんだっけといったときにチラとチェックできるようにスマホで見やすいレイアウトという条件で早見表と作成。写真と比べてみるには横置きが最適です。写真をクリックすると拡大表示されます。最初はエンジン他の情報も一覧にしようと思ったのですが、スマホの見易さ重視で断念。
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今日では自動車のタイヤのサイズ表記はISO規格に統一されていますが、これは70年代以降にラジアルタイヤやロープロファイルタイヤなどが急速に普及し、 タイヤの構造やかたちにいろいろなバリエーション出てきたことに対応して設定されたものです。旧車、ビンテージカー、クラッシックカーなど、70年代以前の車のタイヤサイズの表記方法は、このISO規格とはだいぶ違う形式になっています。このことから、現在手に入るタイヤと当時の指定サイズタイヤとのサイズ換算・比較に困ることがよくあります。
また、旧車やビンテージカーのタイヤサイズの表記には製造された年代が違うと、同じ数字表示でも違うサイズを示しているというさらにややこしいケースもあります。 例えば、初代セドリック(30型)と3代目セドリック(230型)スタンダードの指定タイヤサイズはともに 6.40 14 4PR となっていますが、これはそれぞれ違うサイズのタイヤを意味しています。 タイヤメーカのサイトにあるタイヤ表記の解説などを検索・参照すると、“6.40”はタイヤ幅を “14”はホイールサイズ “4PR”は積層数強度 を示す、という解説はたくさん見つかりますが、 “あれ、でもそうすると外径や扁平率はどこでわかるの?”という当然生じる疑問には何も説明がなくて、もやもやは深まっていくばかりです。
でも、実際はたった二つの約束事さえ押さえておけば、このモヤモヤは簡単に解くことができます。旧い規格のタイヤ、ビンテージタイヤのサイズの見方、読み方、新しい規格への換算のコツをまとめてみましたので、是非ご一読ください。
まず、ポイントの説明の前に、現在のISO表記の基本ルールをおさらいしておきます。
サイズを示す赤色の数値は必ず表記されますが、性能や用途に関する黒色の表記は省略されることがあります。 黒色の項目の表示はサイズ情報とは関係のない表示とも言えるので、ここでは無視してかまいません。黒字の各項目の記号、数値は欄下にまとめてみました。ここには肝心のタイヤ外径の数値がありませんが、外径は赤字部分の情報から以下の式で求めることができます。
全幅(ミリ) × 扁平率 X 2 + リム径(インチ) × 25.4 = タイヤ外径(ミリ)
165 X 82% X 2 + 14 X 25.4 = 626 mm
以上を踏まえて、旧表記を理解(翻訳)するためのポイントは以下の二つです。
ポイント① むかしは扁平率を変えるという発想自体が無かったので〜1965年までは92%、それ以降は82%で固定だった。このため表示がない場合には製造年代に応じてどちらかを当てはめればよい(*)。
ポイント② 外径・全幅の数値はミリ表示の場合とインチ表示の場合がある。ミリ表示の場合はそのまま、インチ表示の場合はミリ換算すればよい。
(*)この当時標準の扁平率に従っていない場合などは扁平率ではなく外径が全幅の前に表記される。(今時の四輪駆動など)
これだけです。つまり、①当時あたりまえすぎて省略されていた扁平率をあてはめ、②インチ表示をミリ換算、すればISO表記になります。 これを踏まえて、先ほどのセドリックの例に当てはめてみます。
30型は1960年発売なので、当時の規格では扁平率92が省略されていることになります。 また全幅の表示が6.40とインチ表示なので、これをX25.4でミリ換算すると162.56ミリとなります。 よって6.40 – 14 はISO表記にすると 165 / 92 – 14 相当、ということになります。 外径は上の式から 659mmとなります。
一方、230型は71年発売なので、扁平率82が前提省略されているので 6.40 – 14 はISO表記にすると 165 / 82 – 14 相当ということになります。 よって外径は626mm。 ちなみに230型でもハードトップの設定は 175SR-14 という指定になっています。 これはISO表記にすると 175 / 82 R 14 S 相当ということになります。 外径は同様の式から642mmとなります。
ついでにもうひとつ、70年代にアメリカで一時期だけ採用されていた規格にAlpha-Numericというのがあります。耐荷重区分をアルファベットで表記し、これと扁平率とリム径でサイズ表記します。耐荷重はタイヤの容積(空気の入る容量)に比例するので、サイズも大きくなります。表示項目な少なくてシンプルですが、肝心のサイズが直感的、一義的にわからないこともあってか、ISOのスタイルのとってかわられました。しかし、マッスルカーブームのピーク時に採用されていた規格なので、アメ車、マッスルカー用のタイヤや、その影響を受けた国産の当時モノにはよく出てきます。
よく登場するサイズの換算値は以下の通りです。
各表記の相関関係と、主な純正採用車両をMEMO欄にまとめておきますのでご参照ください。
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